歯医者 葛飾区からのご提案
改良の研究が重ねられ、その成果が導入されることになったのだという。
出力が二万二千キロワット増える。
それだけという気がしてしまうが、この結果その分の温排水の量が減り、原子炉を冷やすための冷却水の海水取水も一秒当たり九十五・五立方メートルから九十五・〇立方メートルに、つまり秒当たり〇・五立方メートル減らすことができる。
これは環境への負荷を減らすことにつながる。
ささやかな環境との「共生」ということもできるのではないだろうか。
原子力にもそれぞれの顔があるのは当然だが、それは時として技術面からの顔が強調されることが多い。
それは原子力が技術の塊といっていいほど技術との関係が深いために当然なのだが、そればかりではない。
消費者の視線からみても原子力は変わり出している。
そのひとつが北陸電力の志賀原子力発電所といっていいだろう。
志賀原子力発電所は能登半島の西海岸に面した石川県志賀町赤住にある。
現在、一号機が稼働中であり、二号機が建設途上にある。
一号機の運転開始は九三年七月だったが、この志賀原発はふたつの意味を持っていたといえるかもしれない。
そのひとつはこの原子力発電が動き出したことで、沖縄を除く九電力会社の全部が原子力発電を持ったということである。
日本の原子力体制にとって、多少の歴史的な意味を持つことになった。
それにこれはささやかな変化だが、原子力が周辺環境との調和を目指した最初のものという面だ。
普段着の原子力の登場といってもいいのかもしれない。
ちょっとわかり難いが、古い原子力発電所を見た経験があればすぐわかるのだが、以前の原子力発電所は周囲を威圧するような厳めしい存在だった。
それを見ると否応なく緊張感を強いられるようなところがあった。
打ちっ放しのコンクリートの巨大な塊という印象であり、周辺の風光にはそぐわない。
「役人、銀行マンには白いワイシャツが当然」だったように、原子力は無機質な存在でいい、そんな風潮だったのだろう。
しかし、時代は変わる。
ダムでさえ環境との調和を求められてきている。
立地問題もあって原子力に変身が求められて当然だった。
周辺の環境に配慮した建物のデザイン、色彩などは安全性とは無縁なのだが、原子力も社会の感性から離れてはいられない。
運転開始の時に志賀原子力発電所を訪れて取材した。
九電力の原子力体制確立という意味を現地に見てみたいということだった。
日本で最初の原子力発電となる日本原子力発電の東海一号機が運転を開始したのは六六年七月だ。
そして九電力のなかでは関西電力の美浜原子力発電所が七〇年十一月に最初に運転を開始している。
志賀原子力発電所の運転開始は九三年七月だからこの閉ざっと二十三年経過している。
現在、民営化される電源開発会社は青森の大間町で原子力発電の計画を待ち、準備中でこれが実現するとほぼ全社参加となるが、それには四十年近い年月が流れることになるだろう。
原子力が簡単な事業でないことを物語る。
志賀原子力発電の意味はそんなところにもあったのだが、それを実際に目にした時の印象はすんなり建っているなということだった。
特徴は二つあった。
まず色彩だ。
原子力建屋の壁面は海の青に近いブルー系。
その周囲部分が白という組み合わせ。
周辺にはあえて残された松の緑があり、こうした色彩の選択は専門家の判断によるものだという。
なるほどほとんど違和感がない。
原子力施設の最大の課題は安全性だ。
色彩の問題など枝葉末節という批判も成り立つのだろうが、周辺住民の生活という側而からは色彩も無視はできない。
むしろ、原子力は一面当然ではあるが、ハード面重視型に過ぎたきらいがあったことも事実だ。
それに志賀原子力発電所にはもう一つの特色があった。
原子炉建屋あるいはタービン室などが半地下といっていいほど地面の中にあり、表面部分があまり大きく見えないような工夫がほどこしてあることだった。
これで威圧感が相当緩和される。
志賀原子力を初めての原子力発電として見学すると原子力発電のイメージが違ってしまうかもしれない。
色彩それに半地下式という工夫の結果である。
しかし、この志賀原子力発電所もすんなりできたわけではない。
完成に至る道は極めて長かった。
九電力の最後となったことがそれを物語っている。
志賀原子力の計画が発表になったのは六七年のこと。
他の電力会社の計画もほとんどこのころに発表になっている。
志賀がそれにもかかわらず最後となってしまったのは、これもご多聞に漏れず、立地交渉が難航したことにあった。
実は志賀原子力発電所は隣町の富来町を含めての二町にまたがって建設される予定だった。
ところが志賀町では比較的順調に進んだ用地買収が富来町サイドでは壁にぶつかってしまった。
一部地主が承諾せず、それに反原発運動があり、同町の買収は断念に追い込まれてしまう。
しかし、志賀町の用地では不十分だ。
買い増しが必要になるが、富来町の影響もあって混乱してくる。
結局、住民投票が実施されることになる。
原子力立地を巡る住民投票といえば新潟県の巻町が有名だが、実際には志賀町、それも赤住地区で七二年に実施されたケースが初めてだった。
といってもこの住民投票は条例によるものではなく、その結果についても県当局が調整に乗り出して密封するという結果になっている。
もし開票されていたら。
目下、住民投票が原子力発電所、ゴミ処理施設、基地問題などに大きな影響を持ちつつあるが、その原点が志賀原子力にあったというわけだ。
こうしたこともあって着工は八八年になってしまい、計画発表以来、実に二十一年もかかってしまったことになる。
これは原子力立地の長いケースとされるが今後は更なる長期化が予想される。
原子力がなぜ必要なのか。
その大きな理由は日本のエネルギー事情にある。
日本は石油、石炭、天然ガスなど一次エネルギーの約八割を海外に依存している。
先進国のなかでは極めて高い海外依存率である。
ところがウランもほぼ全量輸入なのだが、どうしてか「準国産エネルギー」と位置付けられている。
この面の議論がもう少しあって、原子力発電の違った側面に関心が持たれてもいい。
最近の原油価格の急騰が囲内経済にあまり影響していない理由のひとつに原子力があることが多少注目されたが、再評価というようなことにはなっていないようだ。
経済性についても最近は立地の長期化などから疑問が出てきているが、これまでに経済性が立証された実例がある。
北海道電力の泊原子力発電所の存在だ。
泊原子力発電所は日本海に面した北海道後志支庁泊村にある。
一号機、二号機とも出力五十七万九千キロワットのPWRだ。
営業運転開始は一号機が八九年六月、二号機は九一年四月。
泊原子力発電所は北海道にある唯一の原子力発電所となっている。
この泊原子力発電所がひとつの話題を提供したことがある。
実はこの泊登場が北海道の電気料金を下げる結果になったのだった。
事情はこうだ。
北海道電力は地元に石炭鉱山を抱えていることから石炭火力への依存度が他社に比べて高い。
これには地場産業の育成あるいは政府の国内炭保護策への協力という背景があった。
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